
茶室は総合美と申し道具組にも気を遣いますが、全体のバランスを考えながら手持ちの道具類で組み合わせを考えるのも、又楽しみでございます。
季節の道具類でしつらえた空間に花が入る時、お席に命が宿るのを感じます。一般に、花は下座に飾ります。
諸飾り(もろかざり)では、真ん中の掛け軸を挟んで、上座に香合を下座に花を飾ります。下座は柱付(柱があるほう)ですが、部屋によってはわかりにくい事もあり、床の間の陽の光が入る方を上座、水屋が有る方を下座と考えるとわかり易いと思います。
香合が上座花を下座に置くのは、正客から花がみえ易い位置であり、又上座の陽の入るほうに花を置くと掛け軸に花の影が映るのを避ける為でもあります。掛け軸に人の絵が描いて有る場合もあり、花影で切る事は厭われます。
掛け軸が横物の場合、真ん中に置くこともあり、以前茶道の師に「見ごろ寛容という言葉もあり一概に決められないのよ」と教えて頂き、奥の深い事と思いました。 と言っても<茶の道>を学ぶ事は堅苦しいものではなく「重いものは軽く見えるように扱い、軽いものは重く見えるように、暑い時には涼しく見えるように、寒い時は暖かくみえるように」など、利休の教えは現代のおもてなしの心にも通じます。
「花は人なり」自分を磨きながら、花達と語り合いと考えております。